「友だち」「作り方」で検索した人に【星の王子さま】をすすめます

星の王子さま (新潮文庫)を10年ぶりくらいに読み返しました。この本を読んだことがなくても、タイトルはご存知の方が多いのではないでしょうか。

内容

砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった…。一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後六十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。最も愛らしく毅然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。

サン=テグジュペリ著『星の王子さま』は、比較的短い話なので、本を読み慣れてない方でも1日あれば読めてしまうお話です。

児童文学でしょ?と、思う方もいるかと思いますが、当時の社会を風刺したと思われる内容が多く考えさせられる内容になっています。

王子さまである男の子は、地球でキツネから“友だち”の概念を教えてもらい、キツネと友だちになります。そのことばや、やりとりからは友だちの作り方、人との絆の結び方に対するヒントがたくさんあるので紹介します。

翻訳家で変わる、物語の雰囲気

外国語の小説は、翻訳でまったく雰囲気が変わってきます。

『星の王子さま』もAmazonで見ていただけで、3人の翻訳家の方の本が売られていました。Kindleで出ているものだと、試し読みで文体がある程度確認できるので、一度ダウンロードして自分にいちばんしっくりくる作品を探してみることをオススメします。

星の王子さま (講談社青い鳥文庫)posted with ヨメレバA.D. サン=テグジュペリ 講談社 2006-11-16 AmazonKindle楽天ブックス

以後、ネタバレが気になる方は、閲覧を控えてください。

友だちについて

友だちは、誰にでもいるわけではないから。

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

誰かと絆が結ばれると、少し泣きたくなってしまうこともある

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

でも友だちを売ってる店なんてないから、人間たちにはもう友だちがいない。

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

たとえば、きみが夕方の四時に来るなら、ぼくは三時からうれしくなってくる。

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

金色に輝く小麦を見ただけで、ぼくはきみを思い出すようになる。

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

友だちを作ること=人と絆を結ぶことは、時間が必要だと話の中で出てきます。よく「友だちになるのに時間の長さは関係ない!」というようなセリフも聞いたことがあります。しかし、たとえば学生時代の友だちの交流を振り返ると、何度となく会話や授業での共同作業などをくりかえして少しずつ親しくなっていくことが多かったなと思い返しました。

この友だち作りには、時間が必要という気付きは今までわたしは見落とししていたものだったので、本を読んでハッとしました。

社会人になって友だちってなかなかできないな、新しい友だち欲しいな、と思っている方。「友だち」「作り方」で検索までかけちゃっている方は、もしかしたら、忙しくて時間がなく、もはや物理的にも友だちを作ることが難しくなっていたりするのかもしれません。

30代女性の友だち事情(わたしの場合)

わたしは友だちが多い方ではないですが、女性だと結婚して子どもがいる人もいれば、独身で仕事を頑張ってる人もいて、それぞれ立場が違います。

立場が違えど、やっぱり友だちには自分の生き方を認めて欲しいんだけど、それぞれ求めているものが違う気がして時々苦しくなったりします。

仕事を頑張ってる友だちからしたら、わたしの働き方は生温いって思われちゃうのではないかと思ったり。他人や、友だちにどう思われようと自分の働き方なんで仕方ないんですけど。やりたいことをやるって、やっぱり勇気がいるなと思います。

わたしは、人生の中で労働時間を今後必要最低限に削って行きたいと思っています。もちろん自分が生活に必要な分は稼ぎますが、それ以上はいらないと思ってます。20代の頃に長時間労働は嫌という程やったので、30代は生活とのバランスを取っていきたいからです。「健康で働けるだけで有難い」スタンスです。

さて、かといって子どもはいないので出産や子育ての話にもついていけないし。自分が離婚してるから、夫婦へのアドバイスも特になし。

あれ?誰とも話が合わないんじゃないか?しかし、ここまで書いていてふと気づいたんです。

そもそも友だちって、同年代のまったく同じ境遇の人としかなれないんだっけ?いや違うだろ。むしろ、違う境遇の人とも仲良くできるのが友だちだろ、と。

友だちは同じ世代に限定しない方がいい

友だちができないなって思っている人は、もしかしたらわたしの様に友だち=同世代って思い込んでいる人もいるんじゃないかなと。

でも、その縛りを解いて全世代にアンテナを張ったら、単純に考えても人数が圧倒的に増えるから、友だちが見つかる確立って上がると思うのです。

以前イギリスの生活を紹介する本に、年齢が20歳以上離れた女性同士の友だちでカフェをしている話を読んで、驚いたことがあります。

日本人は同世代同士の固まったコミュニティの中でしか交流がなく、自分より下の世代、上の世代とのコミュニケーションの取り方が分からない人が多いのかもしれないと思いました。

祖父母と同居して普段から交流している人は、外でも自分の祖父母と同じような年齢の方にうまく接することができたりしませんか?

普段から様々の世代の人と会話している人とそうでない人とでは、会話の内容も含めて、コミュニケーション能力に差が出ても仕方ないと思います。

わたしは、医療従事者に転職してから仕事で強制的に様々な年代の方と接するようになって、自分の中の同世代重視の壁が壊れかけているのを感じます。

同世代ならもちろん話も通じやすいし、楽しいです。しかし、若い世代の人、上の世代からしか学ぶができないこともたくさんあります。

というわけで、年代問わず友だちになれるようになるのが、わたしの今後の目標です。

労働時間を削ってできた時間を周りの大切な人にも捧げたいので、時間が必要な友だち作りにも最適ではないかと。

人間って、その人と関係を築き始めているなって分かりますよね。その時って、すごく嬉しくなりますよね。心が近づいているのが分かるというか。職場でも、この人絶対合わないなーっと思っていた人と毎日会って、会話を何度もくりかえすと、最初の頃は考えられなかった信頼関係が生まれる時ありますもんね。そういうのは、人生の醍醐味の一つだなと思います。

時間、そしておとなについて

ここからは、『星の王子さま』で友だちに関すること以外でも気になったことばを紹介していきます。

おとなたちには、いつだって説明がいる。

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

人間たちはもう時間がなくなりすぎて、ほんとうには、なにも知ることができないでいる。

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

特急列車に乗っているのに、なにをさがしているのかもうわからないんだね。

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

いちばん最後の、特急列車を使った表現がいちばん心に刺さりました。時間を節約していても、本当に大切なことがまったくわかってないから、生み出した時間を全然活用できていないよね、と解釈しました。

いちばんたいせつなこと

いちばんたいせつなことは、目に見えない

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

だけどそれは、たった一輪のバラや、ほんの少しの水のなかに、あるのかもしれないよね

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

きみたちは美しい。でも外見だけで、中身はからっぽだね

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

休みたくなったら、歩けばいいんだよ

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

悲しくてたまらないときは、夕陽が見たくなるよね

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

10年ほど前の20代に『星の王子さま』を初めて読んだときは、“本当にたいせつなもの”ってなんとなくしかわかりませんでした。

でもその後10年でわたしなりの答えが見つかっていました。家族でも友だちでも、職場でも通りすがりの人でも誰でもいいので、他愛ない会話で笑って心を通わせることが一瞬でもできた時が、“たいせつなもの”だと思います。